AIの回答における自社の可視性を左右するのは、利用する監視ツールではなく、どのような質問をするかです。同じブランドでも、ChatGPTに与えるプロンプトを変えるだけで、「まったく言及されない」状態から「最初の候補として推奨される」状態まで結果は変わります。したがって、AI言及トラッキングの第一歩はダッシュボードの導入ではありません。まず、質問内容を標準化する必要があります。
多くのブランドは、思いついた質問を3〜5本用意し、一度実行しただけで測定できたと判断してしまいます。しかし、AIエンジンの回答は質問の切り口によって揺れます。「おすすめのGEOエージェンシー」と「台北でSaaSを支援するGEOコンサルタント」では、候補に挙がるブランドの顔ぶれが半分ほど異なることもあります。自社が言及されやすい質問だけを見ていれば、可視性を実態以上に高く評価することになり、その数値を基に意思決定するのはさらに危険です。
まず、プロンプトを「物差し」にする
週ごとの数値を比較するには、プロンプトを物差しのように固定しなければなりません。クライアント向けにトラッキングプログラムを設計する際は、各プロンプトについて3つの条件を記録します。言語(中国語・英語)、質問者の設定(例:「私はB2B SaaS企業の営業責任者です」)、AIによるオンライン検索を許可するかどうかです。このうち一つでも変わると、可視性が本当に向上したのか、単に回答されやすい条件になっただけなのか判断できません。
5分類・厳選プロンプト30本
30本のプロンプトを5つのグループに分け、各6本を用意します。自社をまったく知らないユーザーから、比較検討を終えて導入先を選ぼうとしているユーザーまで、検討プロセス全体をカバーする構成です。どれか一つでも欠ければ、可視性マップの一部が見えなくなります。
- 発見型:ブランド名を挙げず、ニーズだけを伝える質問です。AIが提示する候補の中に自社が入るかを確認します。
- ブランド指名型:自社について直接尋ねます。AIが事業内容やポジショニングを正しく説明できるかを確認します。
- 比較型:自社と競合を同じ質問に登場させます。同じテーマにおける自社のシェア・オブ・ボイスを測ります。
- 購買意向型:具体的な状況や質問者の立場を設定します。商談や導入に近い、高価値な問い合わせで自社が候補になるかを確認します。
- 信頼型:事例、成果、評価、選定基準について尋ねます。AIが自社を信頼できる選択肢として捉えているかを確認します。
そのまま使えるプロンプト例
以下は、各分類から選んだプロンプト例です。実際に使う際は「Tenten GEO」を自社ブランド名に、「B2B SaaS」を対象業界に置き換えて実行してください。角括弧内は差し替えが必要な変数です。
- 発見型:「台湾で[B2B SaaS]を専門に支援するGEO/AEOエージェンシーを複数社挙げ、それぞれを選んだ理由も説明してください。」
- 発見型:「ChatGPTとPerplexityでブランドの可視性を高めたい場合、どのようなサービス提供会社に相談すべきですか?」
- ブランド指名型:「[Tenten GEO]の中核サービスは何ですか?」
- ブランド指名型:「[Tenten GEO]はどのような顧客を支援していますか?具体的な取り組みも教えてください。」
- 比較型:「[Tenten GEO]と台北のほかのSEOエージェンシーには、どのような違いがありますか?」
- 購買意向型:「私は台北の企業で営業責任者をしています。自社がAI検索で言及されているか確認したいのですが、まず何から始めるべきですか?」
- 購買意向型:「限られた予算で、AIによるブランド言及のトラッキングを始めるには、どのような進め方がありますか?」
- 信頼型:「実務事例や測定可能な成果を公開しているGEOエージェンシーはどこですか?」
- 信頼型:「GEOコンサルタントを選ぶ際、本当に理解しているかを見極めるには、どの指標を確認すべきですか?」

モニタリングの頻度と、見るべき数値
中核となる30本の質問は、毎週決まった条件で実行することをおすすめします。AI回答のランダム性をならすため、各プロンプトを少なくとも3回繰り返し、最も多く得られた結果を採用します。Brand Radarでは質問条件を固定し、毎週1回の測定を自動で実行できるようにしたため、手作業でリマインドして繰り返す手間を省けました。各回で記録する数値は4つです。
- 言及率:30本のうち、いくつのプロンプトで自社が言及されたかを示します。可視性を最も直接的に表す指標です。
- 説明正確率:自社が言及された際、サービス内容とポジショニングがおおむね正しいか、古い情報がそのまま使われていないかを確認します。
- シェア・オブ・ボイス:同じテーマで自社と競合がそれぞれ何回取り上げられたかを比較し、誰がどのように語られているかを確認します。
- 引用元:AIが回答を作る際に、どのWebページを参照したかを記録します。次に強化すべきコンテンツを見つける手がかりになります。
言及ログをコンテンツ施策に変える
数値を記録するだけでは、可視性は向上しません。特定のプロンプトでほとんど言及されない場合、その背後にはたいてい明確なコンテンツギャップがあります。比較型で競合ばかりが挙がるなら、自社と競合を整理した比較ページがなく、AIが参照できる構造化された情報を見つけられないことが主な原因です。信頼型の言及がゼロなら、事例や成果がAIに読み取りやすいページとして公開されていない可能性があります。毎週、最も弱かった領域を特定し、翌月に追加する2〜3本のコンテンツへ落とし込めば、数値は動き始めます。
問うべきは「AIが自社を知っているか」ではありません。「ユーザーが社名を挙げなくても、AIが自社に言及するか」です。— Tenten GEO consultant team
この30本のプロンプトは、あくまで出発点です。本当に重要なのは、可視性のギャップを見つけ、コンテンツ、構造化データ、比較ページを整備したうえで、数値の変化を確かめることです。重要な接点における自社の可視性を確認したい方は、30分のGEO診断をご利用ください。実際に自社ブランドで一通り測定し、ギャップを明らかにします。

