AI要約が参照するのは、図表そのものではなく、その横に書かれた文章です。同じデータを3つの形式にして複数のAIエンジンで要約させたところ、図表だけの形式はほとんど引用されず、重要な数値を完全な文にしたテキストが最も多く抽出されました。問うべきは図表とテキストのどちらが優れているかではありません。情報が、AIの引用できる文章になっているかどうかです。
「図表のほうが引用に向いている」という思い込みは、人間の理解の仕方とAIの処理を混同しています。
人が図表をすばやく理解できるのは、視覚から低い認知負荷で情報を捉えられるからです。しかし、AIエンジンの処理は異なります。AIが主に読むのは、ページ上のテキストや図表の下にあるラベルです。PNGやSVGは、多くの要約モデルにとって、そのままでは意味を読み取れないピクセルにすぎません。画像を認識できるマルチモーダルモデルであっても、出典を付けて検証しやすい、参照元の明確な文章を優先して要約を生成します。対応する説明文がなければ、最も重要なデータをモデルの読めない場所に隠してしまうことになります。
同じデータを3つの形式で用意しました。
検証には、B2B SaaSの料金プラン比較を使用しました。同じページ構成のまま3つの形式を作成し、ChatGPT、Perplexity、Google AI Overviewsの要約がどの部分を参照したかを調べました。
- 図表のみ:比較内容をインフォグラフィックにし、ページ上にはタイトルと図表だけを掲載。説明文は置きません。
- テキストのみ:同じ比較内容を段落で説明し、Markdownの表を追加。図は掲載しません。
- 図表とテキストの併用:各ポイントを完全な文で説明するテキスト付きの図を用意し、その下にキャプションを置きます。
結果に迷いはありませんでした。図表のみの形式は、3つのエンジンすべてでほとんど引用されませんでした。最も頻繁に参照されたのは元のテキストです。特に表の各列は、「AプランとBプランはそれぞれ月額いくらか」のような、検証可能な文として直接読み取られていました。図表とテキストのみの形式では引用回数に大きな差はありませんでしたが、サムネイルが表示される画面では、画像が視覚的な補足として採用される点で、図表の優位性が明確でした。
AIエンジンの要約は、実際に何を拾っていたのか
3つの形式の違いを分解すると、モデルが捉えていたのは具体的に次の3点です。文として完結していること、数値と単位が同じ文に含まれていること、そして周囲に識別可能なテーマや問いがあることです。表が有効なのは、「列名+値」が自然に結び付き、1つの列からまとまった事実を取得できるためです。図表がテキストに劣るのは、図表そのものが悪いからではありません。関係性がピクセルで描かれ、テキストとして同期されていないからです。

図表を引用されやすくする4つの方法
- 各画像に「図表の結論」を添えます。見た目を説明するのではなく、重要な数値と単位を含め、結論まで伝わる完全な文にします。
- 図表の中核データを表や箇条書きにも反映し、図表の直前または直後に配置します。テキストと図表の内容を一致させてください。
- 「Chart I」「Show」のような中身のないラベルではなく、その画像がどの問いに答えるのかが伝わるcaptionとaltを対で設定します。
- 画像にはできるだけSVGを使用するか、HTMLにもテキストラベルを追加し、ソースコードを読むクローラーが項目名を取得できるようにします。
この4ステップの考え方は、1文に集約できます。引用してほしい情報には、必ずページ上にテキスト版を用意すること。図は人が見るためのもので、テキストは機械が参照するための情報源です。両者は対立するものではなく、この順序で組み合わせるものです。
テキストだけでよい場合と、図表を使うべき場合
プロセス、ランキング、統計値、料金プランなどの比較を扱うなら、まずテキストと表を作り、図表は最後に補足として加えます。空間的な関係、システム構成、トレンド曲線を扱う場合は、図表が理解を助けます。ただし、要点を文章に変換した段落を必ず添えてください。判断基準は「このページの見栄えがよいか」ではなく、「図表を外しても、AIが引用してほしい内容を引用できるか」です。
GEOにおいて、図表はコンテンツ本体ではなく、コンテンツの表紙です。実際に引用されるのは、あくまで書かれた言葉です。
ページに「引用できるテキスト」があるか、確認してください。
多くのチームが抱える問題は、図表の見栄えが悪いことではありません。最も重要なデータを画像の中だけに置き、本文にはほとんど何も書いていないことです。自社ページのどのデータがAIエンジンには「見えていない」のかを把握したい方は、30分のGEO診断をご予約ください。実際のサイトページを使い、AI要約に拾われた箇所と、抜け落ちた箇所をお見せします。



