台湾でB2BやSaaS事業を展開しているなら、ほぼ間違いなく「SEOとGEOの両方に取り組む」が答えです。ただし、この言い方には注意が必要です。SEO用とGEO用に別々の制作ラインを立ち上げ、それぞれに担当チームが必要だと誤解されやすいからです。実際には、両者を支えるコンテンツ基盤は共通しています。コンテンツを制作している時点で、すでにSEOとGEOの両方に材料を供給しているのです。決めるべきなのは、次の予算と来月の制作リソースを「検索順位の獲得」と「AIからの引用獲得」のどちらに重点配分するかです。
「どちらか一方を選ぶべきか」という問いの背景には、多くの場合、予算や人員が限られているという現実があります。この懸念はもっともです。しかし必要なのは、片方を切り捨てることではなく、優先順位を決めることです。当面は一方に集中したほうがよい企業も少数ながら存在します。該当する企業像は後ほど説明します。一方、大多数の企業が無理に二者択一をすると、節約する場所を間違えかねません。競合がAIの回答で繰り返し言及されるようになってから、自社が一歩出遅れていたと気づくことになります。
まず押さえたい違い:基盤は共通、最後の打ち手が異なる
SEOとGEOに必要な取り組みは、80%が重なります。具体的には、機械がクロールできるページ、構造化データ、エンティティや用語の明確な定義、各サイトで一貫したブランドストーリー、実体験に裏づけられたコンテンツです。これらを整えれば、Googleの検索順位とAIエンジンからの引用の両方に好影響があります。施策が分かれるのは最後の工程です。SEOではユーザーを自社サイトへ呼び戻し、コンバージョンにつなげる必要があります。一方、GEOでは言語モデルがコンテンツを正確に抽出し、回答の根拠として利用できる状態をつくります。作業の大半が共通するため、「両方を同時に進める」追加コストは想像するほど大きくありません。多くの場合、1本のコンテンツを一度リライトするだけで、SEOとGEOの両方に対応できます。
- 共通基盤:クロール可能な設計、構造化データ、明確なエンティティとポジショニング、E-E-A-T、サイトをまたいだ一貫性のあるブランドメッセージ。
- SEO固有の施策:キーワード別のランディングページ、内部リンク構造、クリックとコンバージョンを促すページ体験。
- GEO固有の施策:単独で抽出できる回答文、明確な事実と数値、具体的な質問への端的な回答。
3つの状況で、答えはどう変わるか
どちらを先に進めるべきかは、現在地によって変わります。抽象論を続けるより、次のどの状況に当てはまるかを確認しましょう。同じ「両方に取り組む」という結論でも、実行する順序は状況ごとに大きく異なります。
- 自然検索の基盤がまだできていない:公式サイトへの検索流入が少なく、ブランド名以外ではほとんど上位表示されていない状態です。まずSEOの基盤整備を優先しましょう。GEOに必要なクロール可能性やサイト構造も、この工程で整うからです。
- SEOは安定しているが、AIの回答に自社が出てこない:ChatGPTやPerplexityで関連する質問をすると競合名は繰り返し挙がるのに、自社は登場しない状態です。この段階では、追加予算をGEOへ明確に振り向けるべきです。
- どちらも未着手だが、すでにAIが購買行動に入り込んでいる:買い手が自社サイトを見るか判断する前に、まずAIへ質問することが定着しているカテゴリーです。この場合は順番をつけず、同じコンテンツ群を使ってSEOとGEOの基盤を同時に整えます。
自社で確認できる判断チェックリスト
定義をめぐって悩むより、具体的な質問で自社の現在地を確認しましょう。以下の各項目に「はい」と答えた場合は「GEOを強化すべき」方向に1点、「いいえ」ならSEOを先に強化する方向に1点を加えます。厳密な診断ではありませんが、どちらに比重を置くべきかを判断するには十分な目安になります。
- 購買判断で特に重要な3つの質問をChatGPTとPerplexityに入力したとき、回答に自社ブランドが出てきますか?
- 同じ質問に対する回答で、競合企業は名指し、または引用されていますか?
- カテゴリーキーワード(ブランド名を含まない語句)で検索したとき、主力製品ページはGoogleの上位10位以内に入っていますか?
- コンテンツ内に、単独で抜き出しても質問への回答として成立する段落がありますか? それとも、全文を読まなければ意味が伝わりませんか?
- 公式サイトにはFAQ、製品、組織などの構造化された情報がありますか? それとも、プレーンテキストだけですか?
- 自社のポジショニング、製品用語、主要な数値は、各ページや外部プラットフォームで統一されていますか?

予算と制作リソースをどう配分するか
成長段階にあるB2B SaaS企業の多くには、コンテンツ予算をおおむね7対3に分けるところから始めることをおすすめします。70%は、SEOで直接成果を得られ、GEOとも基盤を共有できるランディングページへ投資します。残る30%は、既存コンテンツをAIが引用しやすい形式へリライトし、価値の高い質問を少数に絞って対策するために使います。対象の質問で自社が引用され始め、パイプラインへの貢献も確認できたら、四半期ごとにGEOの比率を引き上げます。この数値は絶対的なルールではなく、あくまで出発点です。一度に賭け切るのではなく、毎四半期の実データをもとに配分を見直すことが重要です。
本当に一方だけでよいのは、どのような場合か
例外的に、当面は一方だけへ集中したほうがよい場合もあります。たとえば、買い手が調達の情報収集にAIツールをほとんど使わない業界です。規制が厳しく、既存の取引関係や入札を中心に商談が進む場合、GEOによる短期的な追加リターンは小さくなります。まずSEOと口コミを積み上げるほうが現実的です。反対に、まったく新しいカテゴリーで、Googleに該当する検索ボリュームが存在しない場合、従来型のキーワードSEOは、まだない需要を待つことになります。この段階では、AIエンジン上の可視性を先に高め、その新カテゴリーを説明する際にモデルから自社があわせて言及される状態をつくるほうが、早く成果につながります。こうした例外を除けば、多くのB2B企業にとって、二者択一は短期的な予算制約を正当化する理由にすぎません。
買い手が自ら検索したときに自社が見つかるかを左右するのがSEOです。買い手に代わってAIが選択肢を示すとき、自社が言及されるかを左右するのがGEOです。どちらの接点も逃したくはないはずです。— Tenten GEO
チェック結果を施策へ落とし込む
ここまでのチェックを終えれば、自社がどちらに重点を置くべきか、おおよその方向性は見えているはずです。次は、その判断を具体的な制作リソースの配分とリライトの順番へ落とし込みます。どのページから構造化するか、どの質問で引用獲得を優先するか、1本の原稿でSEOとGEOの両方に対応できるコンテンツはどれかを決めましょう。回り道を避けたい方は、30分間のGEO診断をご予約ください。実際の購買判断で使われる質問をもとに、主要6つのAIエンジンにおける可視性のギャップと、どこから埋めるのが最も費用対効果に優れるかをご案内します。



