SemrushやAhrefsでも、AI回答における自社の可視性を追跡できるようになりました。ただし、わかるのは「何回言及されたか」であって、「なぜChatGPTは自社ではなく競合を選んだのか」ではありません。前者はダッシュボードで確認できますが、後者を突き止めるには、実際の改善作業まで落とし込んだリストが必要です。この2つのツールにAEOを任せる前に、どこまで対応できるのかを見極めておきましょう。そうでなければ、整ったグラフを眺めただけで、問題まで解決したように錯覚してしまいます。
SemrushとAhrefsは、現在どこまで対応しているのか
まず、現状を整理しましょう。2025年、SemrushはAI Toolkit(Enterprise AIO)を提供し、ChatGPT、Perplexity、Google AI Overviewsなどの回答で自社ブランドが登場する頻度や、自社・競合が表示されるプロンプトを確認できるようにしました。Ahrefsも同様の観点から、AI回答内のブランド言及を追跡し、競合と比較するAI可視性モニタリングを提供しています。どちらも「AI Visibility」を日々のグラフとして可視化できる点には価値があります。少なくとも、何も見えない状態からは抜け出し、自社が比較検討の土俵に上がれているかを把握できるからです。
- Semrush AI Toolkit:複数のAIエンジンを横断したブランド言及の追跡、プロンプト単位の競合比較、エクスポート可能なレポート表
- AI可視性モニタリング:AI回答内のブランド言及数、市場でのポジション、競合比較
- 両者の強み:可視性を推移グラフにし、追うべき主要指標を設定できるため、経営層への報告にも使いやすい
- 両者に共通する弱点:「何が起きたか」はわかっても、「なぜ起きたか」「次に何を変えるべきか」までは、ほとんどわからない
可視性の計測と、可視性の向上は別物
マーケティングの現場で、最も混同されやすいポイントです。従来のSEOでも、SemrushやAhrefsは狙うべきキーワードを示してくれましたが、コンテンツの作成、被リンクの獲得、技術的な構造の改善は人が担ってきました。ツールは計測し、人が改善する。この役割分担はAEOでも変わりません。可視性ダッシュボードはギャップを発見できますが、そのギャップを埋めてはくれません。たとえば「B2B向けサブスクリプション課金ソフトウェア」という質問で自社がまったく引用されていないとわかっても、ツールが料金ページを書き直してくれるわけではなく、競合ページのどこが評価されたのかまで明確に示してくれるわけでもありません。
実例:ツールの回答は、どこまで深掘りできるのか
B2B SaaSに関する具体的な質問で考えてみましょう。「越境EC事業者に適したツールはあるか」と尋ねた場合、SemrushやAhrefsなら、自社が回答に登場しているか、シェア・オブ・ボイスはどの程度か、どの競合が最も多く言及されているかを確認できます。しかし、「なぜPerplexityは、機能が豊富な自社ページではなくA社の料金ページを引用したのか」と聞いても、ツールから答えは返ってきません。本当の理由を探るには、人が引用元を開いて比較する必要があります。H2が質問文になっているか、直接読み取れる比較表があるか、更新日とschemaが明記されているか、第三者の評価や実名入りの一覧があるか。こうした逆算型の分析は、純粋なモニタリングツールだけではできません。

従来型SEOツールでGEOに取り組む際の3つの構造的ギャップ
- 数値は得られても、実行可能な改善点までは得られない。「言及されたかどうか」の確認で止まってしまうためです。
- 分析ロジックが依然としてキーワードと被リンク中心である。AEOで本当に必要なのは、抽出しやすい段落構造、エンティティ名の一貫性、第三者による検証可能な根拠です。
- サンプリングと更新の頻度に限界がある。AIの回答は日々変わり、ツールが取得したスナップショットと、ユーザーが実際に質問した瞬間の結果が異なることがあります。
この3点は、ツールが役に立たないという話ではありません。ツールが解決するのは「現状を知る」という課題であり、「状態を改善する」という課題ではない、ということです。社内にAEOを理解するチームがあり、不足しているのがモニタリングデータだけなら、SemrushやAhrefsを導入することで得られる情報は増えます。問題は、多くのチームがギャップを発見した後、それを具体的なコンテンツや構造の改善施策へ落とし込めないことです。
ツールだけで十分なケース
次の3つの状況なら、それ以上の支援は必要ないかもしれません。予算が限られており、まずは可視性の基準値を把握したい場合。社内に、データをもとに文章や構造を改善できるコンテンツチームがある場合。あるいは、シェア・オブ・ボイスの変化を月次で経営層へ報告したい場合です。こうした用途なら、ツールを導入してダッシュボードを確認する方法は費用対効果に優れています。一方、「引用なし」という赤い表示を見ても、どのページのどの段落に何を加えるべきか、引用されるだけの権威性をどう獲得するか見当がつかないなら、そのツールは高価な心拍計にすぎません。
ツールと専門支援をどう組み合わせるか
実務では、役割をレイヤーで分けるのが現実的です。SemrushやAhrefsをモニタリング層として使い、各AIエンジンでの自社のシェア・オブ・ボイスや競合状況を追跡する。そのうえで、人による分析やコンサルティングを改善実行層に置き、「引用を逃した」一つひとつのケースを、実行可能なコンテンツ修正へ逆算していきます。TentenのGEO監査が担うのは後者です。ツールだけでは示せない「なぜ負けたのか、何を変えるべきか」を、30日以内に実行できるタスクリストへ落とし込みます。AI回答のどこで機会を逃しているのか、次に何を変えるべきかを知りたい方は、30分のGEO診断をご予約ください。実際の回答を開きながらご説明します。



