AI検索で露出を獲得できないWebサイトは少なくありません。原因は文章の質ではなく、AIクローラーがそもそもサイトに入れない、コンテンツを正しく切り出せない、発信元を認識できないといった技術面にあることがよくあります。技術的な要件を満たしていなければ、どれだけ優れた記事を公開しても成果にはつながりません。このチェックリストでは、「AIがWebサイトを理解できる状態」を自社で確認できる25項目に分解しました。4つの層を下から順に確認すれば、主な問題点を洗い出せます。
AEO(Answer Engine Optimization:回答エンジン最適化)は従来のSEOと基盤を共有していますが、AIエンジンへの対応には、もう一段階の視点が必要です。AIはまずページを取得し、コンテンツを扱いやすい段落に分割し、各段落の内容を理解したうえで、生成する回答に引用するかどうかを判断します。この経路のどこか一つで問題が起きると、ChatGPT、Perplexity、Google AI Overviewsで表示されにくくなります。以下の25項目は、この流れに沿ってクロール、構造、セマンティクス、信頼性の4層に分け、最下層から並べています。
クロール層:AIクローラーがアクセスできるか(項目1〜6)
最も見落とされやすい一方で、致命的な問題につながる層です。良質なコンテンツがあっても、robots.txtやファイアウォールの設定で、気づかないうちにAIクローラーを全面的に遮断しているWebサイトは少なくありません。
- robots.txtで主要なAIクローラー(GPTBot、ClaudeBot、PerplexityBot、Google-Extended)を明示的に許可します。悪質なボットと一括して拒否しないよう注意してください。
- CloudflareやWAFのブロックルールを確認します。「AIクローラーをブロック」といった初期設定により、引用してほしいエンジンまで簡単に遮断される場合があります。
- 主要なコンテンツが、サーバー側でレンダリングされたHTMLに含まれていることを確認します。多くのAIクローラーはJavaScriptを実行しないため、フロントエンドで描画されるコンテンツを認識できません。
- すべての重要ページがステータスコード200を返すことを確認し、見落とされている404、ソフト404、連続リダイレクトを洗い出します。
- sitemap.xmlに、インデックス登録を希望するすべてのページを含めます。lastmodには実際の更新日時を反映し、すべてのページに当日の日付を設定しないでください。
- ファーストビューのコンテンツが初回レスポンスで読み込まれるようにします。クローラーが、読み込み中の空のシェルページしか取得できない状態は避けてください。
実務でよくある落とし穴は、Webサイトのリニューアルでフロントエンドフレームワークを採用し、ページ全体をブラウザ側のJavaScriptで描画してしまうケースです。ユーザーには問題なく表示されていても、JSを実行しないクローラーが取得するページは、ほぼ空白ということがあります。まずブラウザで「ページのソースを表示」を開き、元のHTMLに主要コンテンツが含まれているか確認してください。この確認だけで、多くの問題を切り分けられます。
構造層:コンテンツを正確に抽出できるか(項目7〜13)
AIエンジンはページ全体を一度に処理するのではなく、内容を複数のまとまりに分割し、質問への回答として最も適した箇所を引用します。構造が明確であるほど、必要な情報が正しく抽出される可能性は高まります。
- 各ページのH1は1つだけにし、H2とH3には明確な親子関係を持たせます。文字を大きくしただけの見出しや、見出しレベルの飛び越しは避けてください。
- article、section、nav、titleなどのセマンティックなタグを活用し、ページ全体をdivだけで組まないようにします。機械が構造を読み取りやすいマークアップを心がけてください。
- 各段落の冒頭1〜2文に要点を置きます。AIが抽出時に内容を推測しなくても、重要な回答をすぐ捉えられる構成にしてください。
- 箇条書きには実際のulやol、比較情報には実際のtableを使います。スクリーンショットや見た目だけのレイアウトでは、画像内の文字を抽出できません。
- FAQは質問と回答が対になる構造にします。それぞれの回答を単独でも意味が通り、そのまま引用できる内容にしてください。
- 画像には内容を説明するaltを付け、動画には逐語的な文字起こしまたは字幕を追加します。テキスト以外の情報もAIが認識できる状態にしてください。
- 定型要素によるノイズを減らします。繰り返し表示されるナビゲーション、サイドバー広告、ポップアップは、メインコンテンツの情報密度を下げます。

セマンティクス層:発信内容を機械が理解できるか(項目14〜19)
ページを取得でき、コンテンツを正確に分割できても、それだけでは不十分です。次に、「このセクションが何について書かれているのか」を機械が判断できるようにする必要があります。構造化データと一貫したエンティティ情報は、AIがコンテンツの意味を適切に分類する手掛かりになります。
- ページ種別に応じてSchema.orgの構造化データを実装します。記事にはArticle、Q&AにはFAQPage、手順解説にはHowTo、企業情報にはOrganizationを使用します。
- 構造化データはJSON-LD形式で記述し、リッチリザルトテストとスキーマバリデーターの両方で検証します。構文エラーによって、気づかないまま無効になっている状態を防いでください。
- 各ページのtitleとmeta descriptionを、実際の内容と正確に一致させます。ユーザーが実際に検索・質問する表現に直接対応させるのが理想です。
- エンティティの表記をサイト全体で統一します。ブランド名、製品名、人名は、サイト内外(Wikipedia、LinkedIn)で同じ名称を使い、大文字・小文字を含めて表記を揺らさないようにします。
- 内部リンクにはリンク先の内容が分かるアンカーテキストを使い、関連ページをトピッククラスターとしてつなぎます。クローラーが各ページの関係を理解しやすくなります。
- 1ページで扱うテーマは1つに絞ります。5つの検索意図を同じページに詰め込むと、AIが内容を分類・引用しにくくなります。
信頼性層:AIが安心して引用できるか(項目20〜25)
AIが情報源を引用することは、その情報の信頼性を一定程度認めることでもあります。そのため、著者、出典、エンティティが明確なページが選ばれやすくなります。この層で決まるのは、単に「読まれるか」ではなく、情報源として「選ばれるか」です。
- 各コンテンツに著者名、肩書、著者ページへのリンクを明記し、schemaでdatePublishedとdateModifiedを設定します。
- 重要な数値や主張には、検証可能な情報源へのリンクを付けます。AIが引用前に裏付けを確認できる状態にしてください。
- サイト全体をHTTPS化し、有効な証明書を使用します。混在コンテンツの警告も解消し、基本的な信頼性を損なわないようにしてください。
- 名称、住所、電話番号(NAP)をサイト全体とOrganization schemaで完全に統一し、エンティティとしての信頼性を高めます。
- llms.txt、または「自社が何者で、何を行い、なぜ取り組んでいるのか」を明確に説明する会社・サービス紹介ページを用意し、AIが発信元をすばやく理解できるようにします。
- ChatGPT、Perplexity、Google AI Overviewsでブランド関連の質問を毎月検証し、引用の有無と内容の正確性を記録します。
監査後:改修の優先順位をどう決めるか
25項目を一度に改善しようとする必要はありません。優先順位は下層から上層です。まずクロール層をすべて問題のない状態にし、次に構造とセマンティクスを整え、最後に信頼性のシグナルを補強します。クロール層は「アクセスできるか、遮断されているか」の二者択一です。一方、構造とセマンティクスは段階的に改善でき、手を入れるたびに状態が良くなります。このチェックリストは、Tentenが提供する30日間のGEO監査から技術面を抜き出した、自社診断向けの簡易版です。自社で一通り確認すれば、明確な問題点の約70%を発見できます。
一通り確認しても、クローラーが本当に遮断されているのか、schemaが正しく機能しているのか、実際のテストでブランド情報が正確に引用されているのかなど、自社だけでは判断しにくい項目が残ることがあります。こうした曖昧な部分をまとめて明確にし、優先順位付きの改修リストを作成したい場合は、30分間のGEO診断をご予約ください。実際のURLを使って検証し、最初に対応すべき3項目を具体的にお伝えします。



