ChatGPTに何気なく「台湾のSaaSコンサルタントを何社か推薦して」と尋ね、自社名が出てきて安心する。これは監査ではなく、くじ引きに近い行為です。アカウントを変え、メモリをオフにし、翌日に同じ質問をすれば、回答も変わる可能性があります。監査で見るべきなのは、単に「言及されたか」ではありません。条件を固定したうえで、どの程度の頻度で言及されるか、何番目に掲載されるか、クリックできる出典リンクが付くかを確認します。この3点を定量化して初めて、監査と呼べます。
まず「引用」の3段階を区別する
まったく異なる3つの状態を一括りにすると、監査結果を正しく評価できません。第1は、生成された文章にブランド名は出るものの、リンクがない状態。第2は、Perplexityや検索機能を有効にしたChatGPTの回答脇に出典カードが表示され、ユーザーが自社サイトへ遷移できる状態。第3は、「企業を推薦して」と尋ねたとき、モデルが自社を最優先の候補として挙げる状態です。それぞれ商業的な価値が大きく異なるため、監査では分けて記録します。
- テキストでの言及:回答にブランド名は出ますが、リンクも順位上の意味もありません。最低限の露出ではあるものの、競合製品の情報に埋もれやすい状態です。
- 出典としての引用:回答の脇に自社URLのカードが表示され、ユーザーがクリックできます。GEOで本当に獲得したいのは、この引用です。
- 最優先での推奨:「1社だけ推薦して」と尋ねたときに最初に自社が挙がる、または段落全体で自社だけが紹介されます。監査で確認できるシグナルのうち、最も希少で価値の高い状態です。
質問を始める前に、4つの変数を固定する
監査は実験と同じです。変数を固定しなければ、データに意味はありません。今日はログイン済みのアカウント、明日はシークレットウィンドウで質問すると、モデルが参照するパーソナライズ情報が異なり、結果を比較できなくなります。監査に着手する前に、次の4項目を決めて記録しておきましょう。
- アカウントとメモリ:常にログアウト状態またはシークレットモードを使用し、ChatGPTの「チャット履歴を参照する」をオフにします。パーソナライズによる結果への混入を防ぐためです。
- プラットフォームとモード:ChatGPT(検索モードを含む)、Perplexity、Google AI Overviews、Geminiをそれぞれ実行し、結果を混在させず個別に記録します。
- 言語と地域:ターゲット顧客が使う言語で質問します。台湾のB2B市場を調べるなら繁体字中国語を使う必要があり、英語での回答を台湾市場の結果として扱うことはできません。
- 質問する日時:同じ一連のプロンプトは、できる限り同日中に完了させます。モデルのインデックスやリアルタイム検索の結果は日々変わるため、数週間離れたデータ同士は比較できません。
そのまま使える5種類のプロンプトテンプレート
質問が1つだけでは、全体像はつかめません。実際のユーザーは、同じニーズにも異なる角度からアプローチします。カテゴリーから探す人もいれば、社名を挙げて比較する人、具体的な状況を伝えて相談する人もいます。以下の5種類は、「まだ自社を知らない」段階から「すでに比較・検討している」段階まで、購買プロセスを幅広くカバーします。[カテゴリー] [ブランド] [状況]を自社に合う言葉へ置き換えてください。
- カテゴリー探索型:「[カテゴリー。例:台湾のB2B GEO/SEO支援会社]を探しています。数社を推薦し、それぞれの得意分野を説明してください」。社名を指定しない候補一覧に自社が入るかを確認します。
- 社名比較型:「[主要な競合製品]と[自社ブランド]では、[サービス項目]にどのような違いがありますか?」。モデルが自社を認識しているか、その情報が正しいかを確認します。
- 課題・状況型:「当社は[業界]向けのSaaS企業です。AI検索での露出を増やしたいのですが、誰に相談し、何から始めるべきですか?」。解決策の候補として自社へ誘導されるかを確認します。
- 事実確認型:「[自社ブランド]はどのようなサービスを提供していますか?料金と対応範囲も教えてください」。モデルが示す情報の正確性と、内容が古くなっていないかを確認します。
- 出典要求型:「[カテゴリー]の企業を推薦し、参照した出典URLも付けてください」。出典の提示を明示的に求め、自社サイトへのリンクが掲載されるかを確認します。
ChatGPTとPerplexityは分けて評価する
ChatGPTとPerplexityでは、出典を示す仕組みが異なります。Perplexityでは、ほぼすべての回答に出典番号が付きます。そのため監査では、自社サイトがどの記事で使われ、何回引用されたかを直接数えられ、シグナルも明確です。一方、ChatGPTでは、通常のモデル回答と検索機能を有効にした回答を分けて考える必要があります。前者は学習内容とメモリに依存するため、言及されるかどうかは長期的なブランド評価に左右されます。後者はその場でWebページを検索してリンクを添えるため、Perplexityに近い仕組みです。ChatGPTでは、各質問を両方のモードで1回ずつ実行してください。その結果の差自体が、重要な示唆になります。

回答をスコアに変える:必要なのは表だけ
質問した後の印象だけで判断してはいけません。表を用意し、横軸に4つのプラットフォーム、縦軸に5種類のプロンプトを並べます。各マスに記入するのは、次の3項目だけです。同じ表で2回目、3回目の監査を実施すれば、一時点の結果ではなく推移を把握できます。
- 言及の有無(0または1):そのマスの回答に自社ブランドが登場したか。
- 引用レベル(1〜3):テキストでの言及は1、出典リンク付きは2、最優先候補として掲載された場合は3。
- 競合製品のカバレッジ:同じマスにどの競合製品が登場したか。また、自社より上位か下位か。
監査で見つかった差から、改善点を特定する
監査の価値は、「記事をもっと増やす」といった曖昧な提案ではなく、具体的な施策へつなげられる点にあります。テキストでの言及すら得られない場合は、ブランドが話題に上る頻度が低すぎる可能性が高く、外部での裏付けや露出機会を増やす必要があります。言及はされても出典としてほとんど引用されない場合は、ページ内の情報を抽出しにくいことが主な原因です。明確なQ&A構造やschemaがない、重要な事実が画像や長い段落の中に埋もれている、といった問題が考えられます。前者は露出量、後者は技術面の課題です。必要な改善策はまったく異なります。
この監査を一巡させれば、課題が露出量にあるのか、コンテンツ構造にあるのかを半日ほどで判断できます。20マスの結果整理、競合製品との比較、具体的な改善項目まで含む完全版が必要であれば、Tenten GEOの30日間GEO監査で、このプロセスをより深く、網羅的に実施します。まず自社の課題がどこにあるか確認したい場合は、30分間のGEO診断をご予約ください。実際にお客様のブランドを使い、複数パターンの質問で検証します。



