AI Overviewが引用する情報源のうち、半数以上は自然検索の1ページ目に表示されていません。台湾の1,000キーワードを詳しく分析すると、最も明確なシグナルが見えてきます。引用の有無を左右するのはドメインの強さではなく、そのページに「きれいに抽出し、そのまま回答として提示できる情報」があるかどうかです。検索順位は候補に入るための条件にすぎず、最終的に引用先を決めるのはコンテンツの抽出しやすさです。
今回の分析方法
台湾のローカル検索を対象に、中国語(台湾)による1,000組のキーワードを選定しました。B2Bソフトウェア、ビジネスサービス、専門性の高い購買領域を中心としつつ、検索量の多い消費者向け調査キーワードも一部含めています。各キーワードについて記録したのは、AI Overviewが表示されたか、どの情報源が引用されたか、各情報源のどの文章が抽出されたか、そしてその文章が元ページのどこにあるかという4点です。デスクトップとモバイルは分けて調査し、実施時期は2026年上半期に集中させました。単日のスナップショットではなく、同じキーワードを繰り返し計測することで、一時的な変動を除外しています。
- 対象:B2Bおよび専門的な検索を中心とする、中国語(台湾)の台湾向けキーワード1,000組
- AI Overviewの表示率:約34%。情報収集型の検索(「〜とは」「方法」「どちらがよいか」)で最も高い
- AI Overview表示時の引用元:平均約5.2件
- 自然検索の上位10位に入っていた引用元:約46%
- 記録項目:表示率、引用元の数、引用されたパッセージの形式とページ内の位置
検索上位でも、引用されるとは限らない
ここで注目したいのは、直感に反する結果です。引用元のうち、自然検索の上位10位に入っていたものは46%にすぎません。つまり、半数以上は2ページ目以降から選ばれていました。AI Overviewの仕組みは、従来の強調スニペットに近いものです。まず質問に対する回答の形を定め、インデックス全体から最適なパッセージを探します。検索上位ページのセクションを丸ごと持ってくるわけではありません。この技術的な考え方は「パッセージランキング」と呼ばれ、検索エンジンがページ単位ではなくパッセージ単位で内容を評価することを意味します。
実際の例を見てみましょう。ある業務ソフトウェアの比較検索では、検索2位のページが回答を300語の長文に埋め込んでおり、読者が最後まで読まなければ結論をつかめない構成でした。一方、14位のページは、わずか2文と3列の表で違いを明確に示していました。AI Overviewが引用したのは後者です。検索エンジンにとっては、情報が網羅的でも切り出しにくい長文より、質問に直接答える部分のほうが価値があります。
最も引用されやすい4つのコンテンツ構造
抽出されたパッセージの形式には、はっきりとした傾向がありました。次の4つの構造だけで引用例のほぼ半数を占めています。共通するのは、情報の境界が明確で、一部分だけを切り出しても意味が崩れないことです。
- 端的な定義文:タイトル直下の1〜2文で用語を明確に説明し、「Xとは〜です」に近い形にします。質問への自然な回答になるため、最も引用されやすいパッセージです。
- 手順または箇条書き:「何をすべきか」「どのように進めるか」を3〜7項目に分けます。AI Overviewでは、リスト全体がほぼそのまま抽出されることがあります。
- 比較表:2つまたは3つの選択肢を、同じ評価項目で1つの表に整理します。特に「AとBの違い」といった質問への回答に使われやすい形式です。
- 質問に対する短い回答:H2またはH3をユーザーが検索しそうな質問文にし、その直後に40〜120語の簡潔な回答を置きます。これにより、独立して抽出できる単位が生まれます。

引用元として頻出するドメインの傾向
消費者向けの検索では、Dcard、PTT、大手メディアが引き続き頻繁に引用されています。実体験を探すために掲示板を利用する台湾ユーザーの習慣とも一致する結果です。一方、B2Bや専門性の高い購買キーワードでは傾向が一変します。引用元の多くを占めるのは、公式ドキュメント、製品比較ページ、そして執筆者、更新日、検証可能な情報源が明記された専門家による解説コンテンツです。AIエンジンには、特定のテーマを深く扱い、更新履歴を確認できるページを選ぶ明確な傾向があります。コンテンツファーム型のページは検索順位を維持していても、今回のキーワード群では引用元にほとんど入りませんでした。専門性の高いコンテンツを発信する企業にとっては朗報です。信頼性が正当に評価される可能性があります。
専門的なテーマでは、AIエンジンは匿名の長文ページを丸ごと参照するよりも、署名と日付があり、簡潔にまとまった回答を引用する傾向があります。
引用されやすいパッセージの特徴
- 長さは40〜120語に収まるものが中心です。長すぎると途中で切られ、短すぎると必要な情報が不足します。
- 結論をパッセージの冒頭に置き、前置きをせず最初の1文で答えを示します。
- 質問と回答の語彙をそろえます。ユーザーが検索に使う言葉をパッセージ内にも含めることで、検索エンジンが対応関係を判断しやすくなります。
- 1つのパッセージで答える質問は1つに絞ります。複数の論点を詰め込まず、情報の境界を明確に保ちます。
実務では何から始めるべきか
Webサイト全体を作り直す必要はありません。まず、AIに引用されたい重要な質問を20〜30個選び、それぞれに対応するページまたはパッセージが自社サイトにあり、単独でも意味が通じる状態になっているかを確認します。そのうえで、定義文をタイトル直下へ移す、長い説明をリストや表に分解する、重要なパッセージに質問形式の見出しを付ける、という3つの小さな改善を行います。コンテンツを増やすのではなく、すでに書いた情報を並べ替えるだけですが、AI Overviewでの抽出しやすさを明確に高められます。私たちがクライアント向けに提供するGEOコンテンツエンジンでも、最初の施策は通常ここから始まります。
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