AI検索における競合の可視性を追ううえで重要なのは、「何回言及されたか」ではなく、「どの質問文脈で、AIが推薦枠を競合に与えたか」です。同じカテゴリーを尋ねても、ChatGPT、Perplexity、Geminiが提示する候補は大きく異なる場合があります。質問と購買シーンを分けて整理しなければ、断片的な印象だけが残り、次の施策を判断できません。
数問を試すだけでは、なぜ判断できないのか
AI上の可視性を確認するとき、多くの人はChatGPTを開き、「最もおすすめのXXツールは?」と尋ね、自社が候補に入るかを見ます。しかし、AIの回答は質問の表現に非常に敏感です。「最もおすすめ」「中小企業向け」「低価格」「台湾の顧客向け」では、それぞれ結果が変わります。1回の回答は、あくまでその時点のスナップショットです。時間、端末、アカウントのログイン状態が変われば、回答も揺れます。競合がどこで優位に立っているかを見極めるには、質問を固定し、継続的に測定する必要があります。
マトリクスを構成する2軸:質問意図と購買シーン
実用的なトラッキングマトリクスでは、「質問意図」と「購買シーン」を軸にします。2軸が交わる各セルが、継続して監視する質問セットです。これにより、全体の言及量だけでなく、「どのような買い手の、どのようなニーズに対してAIが自社を候補から外すのか」まで把握できます。曖昧だった差を座標として特定できるようになります。
- カテゴリー探索型:「XXにはどのようなソフトウェアがありますか?」買い手がまだ選択肢を洗い出している段階です。
- 比較検討型:「AとBなら、どちらが適していますか?」買い手はすでに候補を2つか3つに絞っています。
- 条件選定型:「予算が限られたリモートチームに適したAツールは?」条件が明確に定まっています。
- 代替検討型:「XXの代替サービスはありますか?」買い手は現在のツールに満足していません。
- 信頼性確認型:「XX社は信頼できますか?」買い手が導入前の最終確認をしている段階です。
もう一方の軸である購買シーンでは、買い手の属性と置かれた状況を整理します。初めて導入するのか、導入済みツールを乗り換えるのか。業種はEC、金融、製造のどれか。規模は10人未満か200人か。対象地域は台湾域内か。「最適なCRM」「台湾の中小EC事業者向け」「越境事業を担うセキュリティチーム向け」では、妥当な回答が異なり、AIもこの文脈に沿って候補を選びます。
監視すべき質問:そのまま使えるリスト
以下の「カテゴリー」を自社の製品カテゴリーに、「競合」を主要な競合企業に、「自社ブランド」を自社名に置き換えれば、固定して使える基本質問セットになります。各質問は、対象となるAIエンジンごとに実行することをおすすめします。
- 「このカテゴリーでは、どのようなツールを検討すべきですか?」
- 「自社ブランドと競合の違いは何ですか?」
- 「予算が限られた少人数チームには、どのツールがおすすめですか?」
- 「台湾で利用でき、中国語に対応したカスタマーサービスを提供するツールはありますか?」
- 「このツールの仕組みは?もっと優れた代替サービスはありますか?」
- 「このカテゴリーで、最も早く導入できるのはどれですか?」
- 「この会社の評判はどうですか?信頼できますか?」

各セルに何を記録すべきか
「言及されたかどうか」だけを記録するのは、得られた情報を十分に生かせていません。同じ測定結果には多くのシグナルが含まれています。それらをまとめて記録すれば、次にどのコンテンツや情報を整備すべきかが見えてきます。
- 自社が言及されたか、候補リストの何番目に掲載されたか。
- 同じカテゴリーで、どの競合が何回登場したか。
- AIが参照した情報源:公式サイト、第三者レビュー、コミュニティでの議論、比較プラットフォーム。
- 自社について使われた表現が正確か、古い情報や誤りが含まれていないか。
- AIエンジン間の差:ChatGPT、Perplexity、Gemini、Google AI Overviewsで、候補リストの規模や内容がどの程度異なるか。
測定頻度、競合範囲、運用方法
質問リストを固定したら、少なくとも2週間に1回は測定することをおすすめします。大規模な製品アップデート、資金調達、仕様変更、価格改定などがあった際にも再測定します。競合を無制限に広げる必要はありません。AI上で実際に同じ推薦枠を争っている3社から5社に絞ってください。それが実質的な競合です。長期的に自動化するなら、毎回手作業でスクリーンショットを保存するのではなく、Brand Radarの可視性データを使い、各セルの結果を比較可能な時系列として追跡できます。
AIは、なぜ自社を選ばなかったのかを教えてくれません。マトリクスの価値は、その沈黙を可視化できるギャップへ分解することにあります。
マトリクスから改善課題へ
マトリクスを埋めると、「自社はAI上であまり評価されていないようだ」という漠然とした不安が、優先順位のある施策へ変わります。どの質問に対応する情報を先に追加するのか、どの購買シーンに専用ページが必要なのか、どの比較ページを明確にすべきか、どの参照元を育てるべきかを判断できます。主要な購買シーンでどこにギャップがあるか確認したい場合は、30分間のGEO診断をご利用ください。貴社のカテゴリーで一通り測定し、マトリクスの初版をお見せします。

