「ChatGPTに自社名が出ていますか?」という問いだけでは不十分です。答えが「はい」か「いいえ」にとどまり、改善につながる情報が得られないからです。B2Bチームが本当に追うべきなのは、同じテーマで競合と比べてどれだけ認識されているか、自社コンテンツが実際に引用されている割合、言及のトーン、そして最終的に検索流入や商談へ結びついたかどうかです。この5つを可視化すれば、上司への報告にも、翌月に制作すべきコンテンツの判断にも使えるダッシュボードになります。
まず押さえておきたいのは、AIでの可視性は単一の数値では表せないということです。
従来のSEOでは、順位を見れば状況を明確に把握できました。しかしAIエンジンには、固定された順位がありません。同じ質問を3回しても、Gemini、ChatGPT、Perplexityでは回答が異なり、引用元まで変わることがあります。したがって、単一の数値だけでは自社の状況を説明できません。必要なのは、それぞれ異なる問いに答える補完的な指標です。そもそも十分に出現していないのか、出現しても引用されないのか、信頼されていないのか、好ましくない語られ方をしているのか、商談へつなげられていないのか。以下の5つのKPIは、この順序に沿って設計されています。
KPI I:AI可視性シェア
まず、「台湾のB2Bマーケティング自動化ツールのおすすめ」や「SaaSの受注キャッシュフロー」など、自社の事業に関係する質問群を選び、主要なAIエンジンへ週1回尋ねます。その回答で自社ブランドが言及された回数を、自社と主要競合の合計言及回数で割ったものが可視性シェアです。この指標が答えるのは、「顧客が尋ねるテーマについて、AIは自社にどれだけの発言枠を与えているか」という問いです。単純な出現回数だけでなく、競合に対する自社の位置も把握できます。
- 実際に買い手が尋ねる質問を20〜50件リストアップし、情報収集、比較検討、意思決定の3段階を網羅します。
- 毎週、同じ質問群をChatGPT、Gemini、Perplexity、Claudeへ入力し、言及されたブランドを記録します。
- 「自社ブランドの言及回数」が全言及に占める割合を算出し、AIエンジン別、購買ステージ別に分けて確認します。
KPI II:引用率
AIの回答内で名前が挙がることと、出典としてリンクされることは別です。Perplexityなど、回答の横に参照元を表示するAIエンジンもあります。引用率とは、AI回答のうち、自社ページが実際に出典として掲載された割合です。この指標は、自社コンテンツがAIに正確に抽出されやすい構造になっているかを直接示します。定義が明確で、数値が整理され、要点が段落単位で完結しているコンテンツは、マーケティング上の形容詞が並ぶだけの長文より引用されやすくなります。言及は多いのに引用率が低い場合、課題は可視性ではなくコンテンツ構造にあります。

KPI III:言及トーン
AIが自社を推奨する口調で紹介する場合と、「安いがサポートは遅い」と説明する場合とでは、意味が大きく異なります。そこで、言及をポジティブ、ニュートラル、ネガティブに分類し、各比率の変化を追います。とりわけB2Bでは、ネガティブな言及の出典を確認することが重要です。フォーラム上の不満、古いレビュー、競合サイトの比較記事などが、AIによって客観的な情報として扱われていることがあるためです。これは単なるPRの問題ではありません。AIがより適切な情報を選べるよう、正確で前向きな一次情報を、十分な量かつ新しい状態でインターネット上に用意する取り組みです。
KPI IV:出現率とプロンプトカバレッジ
可視性シェアが競合との相対的な位置を示すのに対し、出現率は質問群全体をどれだけカバーできているかを示します。自社名を含む「ブランド評価」のような質問なら出現しやすくても、「この種のサービスならどこがおすすめか」といったブランド名を含まないテーマでは、AIの候補に入るのが難しくなります。買い手が実際に尋ねる範囲まで対象を広げると、ギャップはすぐに見えてきます。たとえば意思決定段階の質問では存在感がある一方、認知段階の一般的な質問ではまったく出現しないかもしれません。そこが、コンテンツの不足している領域です。
KPI V:AI経由の流入とコンバージョン
最初の4つは可視性を測る指標ですが、最後の指標は可視性を事業成果へ結びつけます。分析ツールでは、ChatGPT、Perplexity、Geminiなどからの流入を個別に識別し、どの業務領域のページが閲覧されたか、資料請求、診断予約などへ進んだかを追跡します。AI経由の流入数は通常それほど多くありませんが、意向が強い傾向があります。ユーザーはAIの推奨を読んだうえで、具体的な疑問を持って訪れるからです。GEOを総流入数だけで評価すると、その価値を大幅に過小評価します。AIとの対話で納得した価値の高い訪問者が、そのまま問い合わせへ進むことがあるためです。
可視性シェアは「見つけられているか」、引用率は「信頼されているか」、言及トーンは「どう説明されているか」、コンバージョンは「事業成果につながっているか」を示します。4つの観点のうち1つでも欠ければ、レポートは実態を正しく映しません。
5つの指標を、毎月のアクションへどうつなげるか
指標の価値は、次の一手を示せることにあります。月に1回、5つのKPIを確認し、3つの問いを立てましょう。どのAIエンジン、どの買い手の質問で競合に負けているのか。引用率の低いページは、AIが読み取りやすい構造へ改善できないか。ネガティブな言及の出典に対して、より新しく、充実した一次情報を提供できないか。BrandonのBrandarは、この5つの指標を継続的に追跡するため、毎週何十もの質問を手作業で入力して集計する必要がありません。指標そのものが可視性を高めるわけではありません。重要なのは、指標に基づいてコンテンツを改善することです。
現時点で、買い手がどんな質問をしているかすら説明できないなら、競争に負けているのではなく、まだ測定を始めていない状態です。自社ブランドが実際にどの程度の存在感を持ち、AI回答にどのような不足があるのかを知りたい方は、30分のGEO診断をご予約ください。自社の事業に即した質問を使って検証し、上記5指標の初期値をお見せします。


