Googleは2023年、検索結果からHowToリッチリザルトを廃止しました。ステップ形式のカードが表示されなくなったのを見て、HowToのマークアップ自体を削除したチームも少なくありません。しかし、それは早計です。廃止されたのは、青いリンクの下に手順をカード形式で表示する仕組みです。schema.orgのHowToタイプそのものは廃止されていません。むしろ、WebページをクロールするAI回答エンジンにとって、手順を明確に区切った構造は有用です。マークアップは今後も必要ですが、読み手はGoogleの検索結果画面から、ChatGPT、Perplexity、AI Overviewへと変わりました。
廃止されたのはリッチリザルトであり、構造化データではない
まず、事実関係を整理しましょう。Googleは2023年9月、HowToリッチリザルトの表示をデスクトップに限定し、その後、完全に廃止しました。同時期にFAQリッチリザルトも大幅に縮小され、一部の政府機関と医療機関のWebサイトに限られるようになりました。そのため、現在Googleで手順を検索しても、展開式のステップ一覧やクリックできるサムネイルは表示されません。ただし、これはGoogleによる検索結果画面上の判断であり、schema.orgの語彙がなくなったわけではありません。HowTo、HowToStep、HowToToolは現在も仕様に存在し、構文として有効で、機械による解析も可能です。
変わったのは「誰が読むか」です。以前は、GooglebotにHowToを認識させ、リッチリザルトを表示してもらうことが主な目的でした。現在は、それに加えて、検索拡張生成に用いる情報を収集するAIエンジンもマークアップを読みます。AIエンジンはWebページをクロールすると、コンテンツを断片に分けてモデルへ渡します。各ステップの順序と境界が構造化されていれば、切り出される情報の品質が上がり、引用時に第3ステップの内容が第1ステップへ誤って結び付けられるといった問題も起きにくくなります。
AI回答エンジンがステップ構造を重視する理由
「Xの方法」は、AIアシスタントに寄せられる代表的な質問形式です。ユーザーが求めているのは、長い記事から要点を自分で探すことではなく、そのまま実行できる一連の手順です。AIエンジンは、ページがこの検索意図に合うと判断すると、順序が明確な箇所を優先して抽出します。HowToのマークアップは、次の4点を一度に伝えられます。
- 順序:step配列の並びによって、最初から最後までの手順を直接伝えられるため、AIエンジンが本文から順番を推測する必要がありません。
- 境界:各HowToStepが独立した単位になるため、情報を分割する際に複数のステップが混ざったり、途中で切れたりしにくくなります。
- 対応関係:nameとtextを分けることで、「このステップで何をするか」と「具体的にどう進めるか」を区別でき、AIエンジンが正確に抜粋しやすくなります。
- 信頼性:マークアップした内容とページ上で読める本文が一致していれば、AIエンジンに読み飛ばされにくく、引用可能な情報源として扱われやすくなります。
2026年もAIに伝わるHowToの書き方
基本構造は2層だけです。外側にHowToを置き、その内側にstep配列を設け、各要素をHowToStepにします。HowToには少なくともnameを、各ステップにはnameとtextを設定します。必要に応じてHowToTool(ツール)、HowToSupply(材料)、各ステップの画像やアンカーURLも加えると、AIエンジンが抽出した情報をページ内の正しい位置へ結び付けやすくなります。JSON-LDで記述し、ページのheadまたはbodyに設置してください。
簡略化した例は次のとおりです。{ "@context": "https://schema.org", "@type": "HowTo", "name": "GA4でコンバージョンイベントを設定する方法", "step": [ { "@type": "HowToStep", "name": "カスタムイベントを作成する", "text": "GA4の管理画面を開き、「イベント」をクリックしてカスタムイベントを追加します。", "url": "https://example.com/ga4-guide#step1" }, { "@type": "HowToStep", "name": "キーイベントとしてマークする", "text": "イベント一覧で、対象イベントの「キーイベントとしてマークを付ける」スイッチをオンにします。", "url": "https://example.com/ga4-guide#step2" } ] }。各ステップのurlにはページ内アンカーを指定します。これにより、AIエンジンが引用元を該当する段落へ直接リンクできます。

設置すべきページ、設置すべきでないページ
HowToでマークアップするのは、ページ上に実際に存在し、「一つの目的を達成するための手順」になっているコンテンツだけです。1ページで完結する操作説明、設定ガイド、インストール手順などが該当します。マークアップ内の各ステップは、読者が閲覧できる本文にも記載されていなければなりません。具体的な手順がなく、マーケティングコピーしかない製品ページへ無理にHowToを設定するのは、構造化データの誤用です。長期的には信頼を損ないます。判断基準はシンプルです。そのページを印刷したとき、読者が記載どおりに一つずつ作業を進められるでしょうか。できないなら、HowToは使わないでください。
ArticleやProductとの使い分け
通常、1ページには複数のスキーマが共存します。手順を解説するページなら、Articleで記事自体のタイトル、著者、公開日時を示し、HowToで記事内の操作手順を示すのが適切です。それぞれ役割が異なるため、同じコンテンツを奪い合うことはありません。製品の使い方を説明する手順であれば、ProductまたはSoftwareApplicationで製品そのものを記述し、HowToで操作プロセスを記述できます。原則は、各タイプが担当すべき情報だけを伝えることです。キーワードを詰め込む目的で、複数のタイプに同じ段落を重複して記述しないでください。
検証と効果測定の方法
GoogleのリッチリザルトテストではHowToをプレビューできなくなったため、検収には使わないでください。代わりに、schema.org公式のSchema Markup Validator(validator.schema.org)を使用します。このツールはリッチリザルトの表示方針に関係なく、構文が有効かどうかを検証するため、現在の目的に合っています。構文を確認した後、本当に追うべき成果は「引用」です。自社のステップがAI回答エンジンに取り込まれ、質問への回答に使われているか。情報源として明記されているか。これを手作業で継続的に調べるには、確認すべき質問が多すぎます。Brand RadarのようにAIエンジン上の可視性を定期的に監視できるツールを使い、どの語句で、誰が引用されているかを記録する必要があります。
HowToマークアップの価値は、「Googleの検索結果に追加のカードを表示すること」から、「AIエンジンが手順を取り違えたり、自社の情報を見落としたりせずに抽出できるようにすること」へ変わりました。
今取り組むべきことは明確です。まず手順コンテンツのあるページを棚卸しし、必要なページにHowToを追加します。次に、マークアップとページ上で読める本文を一致させ、Schema Validatorで構文を確認します。最後に、AIエンジンから引用され始めたかを追跡してください。どのページをマークアップすべきか、設定後にAIが正しく読み取れるか判断できない場合は、30分間のGEO診断をご予約ください。実際のページを使って不足点を確認し、次に取るべき対応を具体的にお伝えします。



