台湾でChatGPT、Perplexity、Geminiに中国語で質問すると、自社の公式サイトではなく、過去2〜3年のDcardやPTTの投稿、あるいは聞いたこともない台湾のニュース記事が引用されることがよくあります。引用元の構成は、質問のタイプによってほぼ決まります。用語の解説や事実確認ではWikipediaと報道機関が優位ですが、評価、推奨、比較ではフォーラムやユーザー投稿が中心です。Googleで自社が何位に表示されるかを追うよりも、狙うテーマでどの情報源が最も引用されているかを把握するほうが有効です。
追うべきは順位ではなく、引用元です。
従来のSEOでは、キーワードごとの検索順位を追います。しかし、AIの回答に「1位」という概念はありません。AIは一度に十数件の情報源を読み、内容を統合して文章を生成し、そのうちいくつかを参考資料として示します。そこで初めて、ブランドが見られているかどうかが決まります。B2Bクライアント向けにAI可視性モニタリングを設計する際、最初に確認するのはブランド名の登場回数ではありません。対象となる質問を一つずつ開き、AIがどのドメインを読み、誰の記述を採用し、何を引用欄に載せたかを調べます。視点を変えれば、対策対象も「自社ページ」から「AIが読む情報源」へ変わります。
台湾におけるAIの主な引用元
以下の分布は、台湾のB2B領域や費用に関する検索意図を長期的に観察してきた結果であり、公表レポートに基づく厳密な推計ではありません。実際の比率は質問、モデルのバージョン、時期によって変動します。それでも、コンテンツ戦略を立てるうえで十分に安定した傾向が見られます。
- Wikipedia(中国語版):用語の定義、企業情報、業界概念では、ほぼ必ず参照される最も安定した情報源です。
- ニュースメディア(中央通訊社、経済日報、デジタル・テクノロジー系メディア):時事、マーケット規模、資金調達、買収、政策に関する質問で主要な引用元になります。
- Dcard:評判、就職、消費などのテーマで引用されやすく、特に若年層に関する話題では存在感があります。
- PTT:かつてほどの勢いはないものの、過去の投稿が今も広くインデックスされ、3C、金融、専門性の高いロングテールの質問で頻繁に引用されます。
- Mobile01:ハードウェア、設備、法人購買の評価でたびたび登場する、有力な情報源です。
- ブランドの公式サイトと.gov.tw:モデルから権威性の高い情報源と見なされますが、質問が該当機関やブランドを明確に指定している場合に限って引用される傾向があります。
なぜフォーラムやユーザー投稿の比重が高いのか
Webトラフィックだけを見れば、Dcard、PTT、Mobile01が大手メディアを上回るとは限りません。それでもAIの引用では、コンテンツ形式との相性から高い存在感を示します。モデルが参照しやすいのは、実際の利用者が特定のツールについて具体的に語った体験談、肯定・否定の両方を含むスレッド、質問と回答が対応した構造です。これはまさにフォーラムの特徴です。公式サイトにある「業界をリードするソリューション」という表現は、モデルにとって参考価値がほとんどありません。一方、Dcardに「導入後、顧客対応の所要時間が1日から2時間に短縮された」と書かれていれば、AIが求める具体的な情報になります。

事実を問う質問では、ニュースとWikipediaが中心
「何か」「いくつか」「何年か」を問う質問では、引用元がWikipediaやニュースへ明確に偏ります。この種の質問に対し、モデルは検証でき、日付があり、出典が明確な記述を優先するため、フォーラム上の個人的な体験談の比重は下がります。B2Bブランドにとって、これは二つの意味を持ちます。中国語版Wikipediaの記事が古い、または存在しなければ、事実ベースの回答から企業情報が抜け落ちます。また、市場データ、業界調査、注目すべき数値、業界見解など、報道機関が引用できる、あるいはニュースとして成立するコンテンツを継続的に発信することが、この引用枠へ入る数少ない方法です。
公式サイトと.gov.tw――権威性があっても引用されるとは限らない
公式サイトや政府系ドメインは権威性が高いため、最優先で引用されるはずだと考える人は少なくありません。しかし、モデルからの信頼には条件があります。.gov.twの引用比率が高いのは、法律、税務、公共データに関する質問です。その領域を離れると、ほとんど引用されません。ブランドの公式サイトも同様です。「Aの料金プラン」を尋ねれば公式情報が使われますが、「AとBのどちらがよいか」という質問では、回答の大半が第三者による評価やフォーラムに基づき、公式サイトの自己評価は引用されにくくなります。権威性が決めるのは、どのテーマで採用されるかであって、あらゆる質問での優位性ではありません。
台湾で取り組むべきこと
- 対象質問を分類する:追跡する質問を事実確認と評価の二つに分けます。優位になる情報源は、それぞれまったく異なります。
- 事実情報を補強する:中国語版Wikipediaの内容が正確か確認し、自社調査、注目すべき数値、業界見解など、ニュースとして扱いやすく引用可能なデータを発信します。
- 第三者の言及を育てる:Dcard、PTT、Mobile01など引用されやすい情報源に、商品宣伝ではなく、実際のユーザー体験が残る状態をつくります。
- 公式サイトの表現を見直す:「業界をリードする」といった抽象表現を、根拠を確認できる具体的な数値や記述に置き換え、サイト自体をAIが情報として抽出しやすい内容にします。
- 定期的に再検証する:引用元はモデルとともに変化します。追跡は一度きりの監査ではなく、継続的に行う必要があります。
台湾におけるAIの引用構造は英語圏とは異なり、台湾のローカル情報源が占める比重は、多くのブランドが想定する以上に大きいものです。AIの回答内で自社がどう見えているかを知りたいなら、対象となる質問を実際に投げかけ、テーマごとにAIがどの情報源を読んでいるかを確認する必要があります。引用元のどこに自社ブランドが登場し、何が不足しているのかを把握したい方は、30分のGEO診断をご相談ください。実際に重要な質問をサンプルとして取り上げ、可視性のギャップを確認します。



